逗子開成中学校 入試対策
2024年度「逗子開成中学校の理科」
攻略のための学習方法
【1】知識分野
本校の入試では、基礎知識からマニアックなものまで幅広い難度の知識問題が出題される。その為、まずは基礎知識を全分野しっかりと仕上げた上で、得意な単元・好きな単元については欲張って細かいものまで覚えてゆきたい。また基礎的な知識でも見慣れない設定の中で問われると迷いがちなものなので、表面的な暗記で済ませず、確実な理解を伴った強固な知識を一つ一つ積み上げる必要がある。その為には一問一答集の完成だけで満足せず、詳しい解説を読み込んでほしい。YouTubeの解説動画なども分かりやすいものが多数あるので、楽しみながら活用しよう。詳細まで覚えられなくとも、様々なイメージが伴うとカンも働きやすい。また過去のテキストや資料集などで様々な図表を目にしておくのも有効である。塾のテキストにある知識分野の記述問題等でも、持てる知識を活用して積極的に解答欄を埋めて経験値を高めてゆきたい。
【2】計算分野
本校の計算分野は、化学分野で典型的な問題が多い一方で、物理分野ではより複雑な設定が多い傾向がある。従って化学分野ではまずは標準的な典型問題をしっかりと仕上げ、物理分野では様々な見慣れない問題にまで触れて経験値を高めておきたい。ただ、複雑な設定の物理実験であっても、土台となるのはやはり塾で習った標準的な内容なので、既知の内容を初見の問題に正確に運用して回答する力が最も重要である。その為にも、より多くの問題に触れることは有効で、問題集も1冊に絞らず数冊を買い置きたい。典型問題は当然しっかりと仕上げつつもそこに終始せず、パラパラと問題集をめくって未知の問題を探してほしい。間違えた問題は時間をかけて解説を読み、理解してゆこう。ただ、消化不良になっても成果は見込めないので、各自のペースで無理せず進めよう。また化学分野も今後難易度が上がることも十分あり得るので、少しだけ化学計算分野の強化を図ろう。
【3】過去問演習
小問単位での時間配分にメリハリが必要な本校入試では、過去問も多めの年度を解いて慣れておきたい。記述問題も決して諦めず、仮説でも想像でも構わないので、とにかく解答欄を埋めきる習慣をつけよう。物理の計算分野の復習では、最後の小問まで出来る限り解説の理解に努め、実力向上を図りたいところだ。
また、他の難関男子校の過去問も、物理などは大問単位で見慣れぬ問題を求めてチャレンジしてみるのも良い対策となるだろう。
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2024年度「逗子開成中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間40分で大問は4つの標準的な構成・問題数である。ただ同一大問内で条件が次々と変わったり、記述問題があったり、やや時間のかかる小問も少なからずある。特別なスピードは必要ないが、与えられた条件に従って論理的に考えつつ、テキパキと進めてゆきたい。
【大問1】地学(流れる水の働き)(必答問題1・3・4・5)
- 難度:易~やや難
- 時間配分:8分
- ★必答問題
前半は標準的な知識問題、後半は砂防ダムに関する考察を行うハイレベルな問題である。
(1)の穴埋めは全て基礎知識であり易しい。
(2)は塾でも習わない内容で、さすがにあり得ない選択肢は除外できるとしても「やや難」である。
(3)は易しい基礎知識。
(4)も十分書き慣れているはずで易しい。
(5)も頻出の典型問題である。標準レベルである。
(6)の土石流は必須知識とは言えず「やや難」である。
(7)は、せき止める働きは気がつくだろうが、川底の傾斜が変わる効果に気づくのは難しく「やや難」である。
【大問2】生物(血液の循環)(必答問題1・3・5①)
- 難度:易~やや難
- 時間配分:8分
- ★必答問題
人体における血液の循環を考える問題で、序盤の基礎知識の後、中盤で「飲み薬」、終盤で「胎児の血液循環」と初見のテーマで考察力を試す問題が続く。
(1)は見慣れた模式図で、①②とも易しい。
(2)は覚えていない人も中にはいるだろうが、まだ標準レベル。
(3)も基礎知識であり、落ち着いて選べば易しい。
(4)は肝臓から直接頭部へ向かう経路を選びがちで「難」だろう。
(5)の①は必須知識である。苦手な6年生も少なくないが、入試までには完全に覚えたい。
②は初見の内容で易しいとは言えないが、リード文を読めば十分見当はつけられ、標準レベルと言える。
③は完璧な回答は難しい。「胎ばん」の一語を使えていれば合格点。「やや難」ではある。
【大問3】化学(実験総合)(必答問題1・4②)
- 難度:易~やや難
- 時間配分:12分
- ★必答問題
物質の判別実験を通して様々な知識問題と計算問題を問う総合問題。
(1)は見慣れた基礎知識で易しい。
(2)はB〜Dで戸惑った人も多いかも知れない。水溶液の種別に溶ける金属と溶けない金属を正確に覚えている必要があり「やや難」か。
(3)は(2)を正解出来ていれば正解できるはずで、(2)が不正解でも気体Eと区別がつけば正解可能で「標準レベル」としよう。
(4)は①で、グラフの比率から逆比にする必要もあり、混乱して間違える人が多い問題である。「やや難」か。
②は①よりむしろ解き易く、めげずに立ち向かっていれば意外と易しい。
③も②よりは難しいものの、①よりは解き易く「やや難」程度か。
【大問4】物理(落下運動)(必答問題1①・2・3・4)
- 難度:易~難
- 時間配分:12分
- ★必答問題
頻出ではないが「物の運動」の一つ「落下運動」に関する問題。初見の部分もあるだろうがリード文と表に従い、また過去の類似問題の経験を活かして解き進めたい。
⑴の①はよくある平方数に気づくはずで易しい。
②は内容的に①と同レベルだが、表のままではなく2倍にしなければならない「引っかけ問題」で、その分「標準レベル」と言うべきか。
⑵も見慣れないボール2個の連結だが、表に従って考えれば十分易しい。
⑶も⑵と同レベルである。
ここで更に設定が変わり複雑になる。
ただ⑷はリード文に従って素直に計算するだけで、算数の分数の初歩的問題である。ここを正解できると頼もしい。
⑸はさすがに「捨て問」で良い。実は同じく平方数の問題で意外とシンプルではあるが。
攻略のポイント
試験時間40分で、配点は4科目一律の100点満点である。
本年第一次入試は合格者平均が73.4点、受験者平均は65.2点とやや高めであった。過去3年間で合格者平均が59.6点〜80.5点と変動が大きい為、入試本番では得点目標など特に設定せず、取れる問題は全て取るというシンプルな心構えで臨みたい。
各大問に基礎知識からやや難度の高い知識までが含まれており、まずは標準的な知識問題・標準的な計算問題を正解した上で、難度の上がる知識問題と計算問題にチャレンジしたい。また設定がやや難しめの物理分野でどこまで得点を伸ばせるかも勝負所である。
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