逗子開成中学校 入試対策
2021年度「逗子開成中学校の理科」
攻略のための学習方法
[出題分析]
理科としては40分という長めのテスト時間、その中で大問4つをしっかりとこなす逗子開成の理科は、少し重厚なイメージだ。
設問数は格別に多いわけではない(30数問)が、問題文が全体に長めで大問の途中にもはじめの条件を変えて設問が新たに作成される箇所があるなど予想しているよりも時間はかかる。その意味では速読即解型の学校のように設問をテキパキとこなしていく必要がある。
また、今までも大幅なシェアを確保していた計算問題が本年度になり一層のバージョンアップを果たしている。典型的な計算問題だけを手がけていれば及第点がとれたこれまでに比べると生徒の負担は増えたと言える。
前半の知識問題と後半の計算問題、大雑把にテストの輪郭を表すとそんな感じである。
[基本的な知識定着は最低限の所為]
このように計算問題に多くの負担がかかる学校であるだけに知識問題での得点は欠かせない。
ここでは、受験生の最低限の努力が要求されている。暗記なんかいつでも出来る、と高をくくってしまい結局それが当日の得点不足につながる生徒は決して少なくない。それは「頭の良い」=「考える力」とは違うかもしれないが、星の名前をたくさん知らないと星座が作れないように知識もまた考察・思考の良い手かがりになることは間違いないので地道な努力を怠らず最後まで知識は蓄積していこう。
[計算問題対策]
元来計算が必要な設問が多い学校であるので対策を進めていく上で計算問題には抵抗なく取り組んできたと思われるが、2020年度は【大問2】(2)(3)、2019年度では【大問2】(3)、【大問4】(5)、2018年度の【大問3】【大問4】に見られる設問はやはりそれまでの問題とは一線を画している。
また2017年度においては、【大問1】から【大問4】まですべての大問の中で計算は要求されてきた。2017年度【大問1】の(7)や【大問2】の(5)(6)、【大問3】の(7)などはユニークな設問であり、ほとんどはじめて触れる計算問題に頭を悩ませたこともあっただろう。
ただ、設問はユニークであってもそのレベルは標準的であり、過去問を積み上げることで問題に対する耐性をつけておけば合格圏までの得点は獲得できたことと思う。
それに対して2018年度以降の計算問題は問題自体の水準が上がっており、端的に言えば難度の高い計算問題への対応力が必要となる。
それを踏まえての対策としては、過去問だけでなく、計算問題を集めた問題集を副教材として準備し適時計算問題にあたることだ。難問印の問題にも果敢に挑戦してみよう。
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2021年度「逗子開成中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
40分で大問は4、小問は30問以上あり分量的には標準的ではあるものの、あまり知らない実験や言葉が登場することが多いのでその意味を考えてから解かなければならない設問もある。したがって、時間に余裕を持たせることは難しいかもしれない。
本年度では大問ごとに計算問題が複数組み込まれており、「食検出法」・「不妊虫放飼法」などあまり聞いたことのない設問が多かったので受験生は苦労したことだろう。全体としては難問とまではいかないまでも侮りがたいレベルである。
【大問1】惑星探査(食検出法)
- 難度:易
- 時間配分:10分
- ★必答問題
太陽系の惑星に関する知識と、系外惑星を見つけるときに使われる「食検出法」が問題の中心となっている。ここではあまり接したことのない「食検出法」を問題文を読みながら理解することが大切だ。
(1)は基本的知識。
(2)では、文面に「公転する惑星」とあるのでそれをヒントと考えれば思いつけるだろう。
(3)は観測者から見た惑星という点が大切で、惑星は恒星の前を短い期間横切るだけなので、恒星は惑星がさしかかったとき少しずつ暗くなり、正面にある間は明るさは変わらず、恒星を抜けるときは少しずつ明るくなる。
(4)①では、円周率を与えられなくても半径×半径によって面積比が求められれば解答は容易だろう。
②では、イとウは書いてある内容に明らかな間違いがある。
「食検出法」というあまり聞いたことのないことがらが出てくるものの設問自体は平易なのでここは全問正解しておきたい。
【大問2】物質の密度
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
「密度」に関しては既習済みの生徒も少なくないと思うので問題を解くことにあまり抵抗はなかったと思うが(4)以降の計算問題はなかなか難しい。
(1)では「密度」の小さいものから答えていかなければいけない。気体の重さで少し迷うところか。
(2)はほぼ算数の問題で、体積と重さの単位がいろいろと違うので問題自体は簡単だが時間はかかってしまう。
(3)はグラフをそのまま延長して0秒の時の重さを出してもかまわないだろう。
(4)では、それぞれの物質の重さを出して加えてから混ぜ合わせたときの密度で割ればよい。例えば、エタノールの重さは180×0.8=144(g)というように。
(5)食塩水を混ぜ合わせる問題と同じように考える。はじめの水溶液の重さは125×1.2=150(g)で濃度は30%なので、溶けている物質Fの重さは150×0.3=45(g)である。あとの水溶液からも溶けている物質Fの重さを出し、加えたあと水溶液の重さの和で割ればよい。ありがたいことに割り切れる。
(6)もまた食塩水の問題、面積図やてんびんを使う問題として処理すれば良い。密度の差から重さの逆比を作り、あとは比例配分すればできあがり。
後半の計算問題にどこまで対応できたかがカギになる。1問程度の失点にとどめたい。
【大問3】レンズと光の性質
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
受験生が苦手にしやすい「光の性質」の問題だが、さいわい凸レンズの問題に作図がないのでなんとか乗り切れそうだ。
(1)は「光の性質」のうち、屈折に関する問題で平易なもの。
(2)では、三角形の相似を使って図形の問題として解けば容易に解けるだろう。
②では、スクリーン上の像がもとのろうそくの3倍なので、1:3という相似比が成り立つ。
③では、凸レンズ内のろうそくの大きさ(1のまま)と3倍の像を比べてまたも1:3。そしして②で求めた長さを比例配分すればよい。ここで焦点距離をあやまると次の設問にも間違いが生じることになる。
④等倍の大きさの像が出来るのは焦点距離の2倍のところにろうそくを置けば良いので、③の答えを2倍して問題に答えよう。
(5)の作図は少し悩むところだ。凸レンズの前に凹レンズが置かれているので、光は一度広がってからふたたび焦点に集まるような線になる。
ここでは(5)のミスはやむを得ないか…
【大問4】植物・不妊虫放飼法
- 難度:標準
- 時間配分:10分
【大問1】の「食検出法」と並んで本年度の難敵、「不妊虫放飼法」が出題されている。全問正解は難しいかもしれないが(6)の知識問題はぜひ正解してテストを終わりたい。
(1)単性花とは「雄花」「雌花」のこと。両性花と対を為す言葉だ。エのオクラが迷う。
(2)は菊が咲く季節を答える平易なもの。
(3)の前に、外来生物の退治法として殺虫剤を使っていた過去の事例と、今回の「不妊虫放飼法」についての解説が長々と書かれている。大切な部分を読み落とさないようにして問題に答えていこう。
外来生物を「2つ」と書かれているので少しやりやすい。
(4)はいくつか答えが浮かぶと思うのでそのうち1つだけしっかり記述しよう。生態系への影響を書くのが普通かと思われる。
(5)は心が洗われるような基礎知識で助かった。
(6)は受精に必要なもの、「卵」は書いてあるのでもう一つのほうだ。
(7)でも「X」は出来るだろう。第2世代では、野生メスが野生オスと交尾をするものはX:1の1のほうだから、比例配分して3分の1のメスのみが交尾できる。そこでYが求まるので連鎖的にZも求まるというわけだ。
問題文を読んでいて面白い問題と思うので来年度もユニークな出題に期待したい。
攻略のポイント
テスト時間は40分で100点満点。
受験者平均点は「51.5点」、合格者平均点は「63.9点」と低い数値だった昨年度をも下回る低い平均点であり、問題のレベルが高くなっていることを表している。
過去問を解いてみるとはっきりわかるのは、逗子開成の理科に対応するためには基本的知識を暗記だけでは不十分で、計算問題に挑戦できるようその手の問題を集めた問題集で難度の高い計算問題に対する耐性をつけておきたい。
また、初見の問題にも柔軟に対応できるよう心がけておきたい。
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