厳しく叱ってしまい、ケンカになることも
保護者様からのご相談
「テストの結果(点数・順位・偏差値)だけを見て、つい厳しく叱ってしまう・・・」
まず、叱ってしまうことが悪いこと・いけないことだという思い込みから脱却を!
但し、その矛先は、お子さん本人以外のどなたかへ。
叱るという行為は、期待や思い入れの反映
テストの結果はもちろんのこと、日頃の自宅学習への姿勢などについても、親子間(とくにお母さんとお子さんの間)で言い争いになってしまうというのは、本当によくあります。
身内なだけにお互い遠慮がなく、対立がエスカレートしてしまうこともしばしば。
そして、優しい親御さんであればあるほど、後になって「あんなに強く言うつもりではなかったのに。親として、温かく子供を見守るべきだったのに。自分は忍耐や愛情が足りないのではないか」などと、ご自身を責めてしまいがちです。
ですが、実は、状況は全く正反対なのです。
お子さんを叱るという行為は、お子さんに対する期待や思い入れの反映です。厳しく叱るということは、それだけお子さんに対する想いや愛情が強いということで、むしろ喜ばしいことといえます。
一方で、叱った親御さんに反抗するお子さんも、怒りや憎しみから反抗するのではありません。
本当は親御さんの想いに応えたい、けれど、応えられなかった(よい成績ではなかった)。そんな情けない自分に対する怒りを、親御さんへの反抗という行為に転化しているのです。
そのため、親御さんの想いに応えたいという気持ちが強く優しいお子さんほど、反抗も激しくなります。
怒りの矛先を変えたことで、お子さんを褒められるように。
私がお伺いするI様のご家庭でも、お子さんとどうしてもケンカになってしまうというお母さんからのご相談を頂きました。
このような場合、私がすることは平凡なことで、ただ「お話を聞く」「想いを受け止める」ということに尽きます。
「一日中時間があったのに、全然勉強せず、遊んでばかりでカチンときた」「いくら言ってもきかない」というお母さんのお言葉をただお聴きするだけなのですが、ひとしきり語り終えてしまうと、お母さんの表情もすっきりして、深刻な雰囲気が和らぎました。
そして、ここからが不思議なのですが、お子さんに怒りをぶつけることが少なくなったI様のお母さんは、結果的にお子さんをほめるようになりました。
そうなると、お子さんも気持ちよく、自信を持って勉強できるようになり、その結果、成績が上がりました。
私からすると、勉強を教えることなく成績が上がるという不思議な体験でした。
今では、「先生に愚痴ってもいいですか?」と前置きして下さる方や、「勉強は自分でも教えられるけれど、自分で教えると娘とケンカになるから、先生に来てもらっている」と明言なさる方もいらっしゃいます。
叱ることがプラスの効果になることも。
I様の場合は、お子さんを叱らなくなることで状況が好転した例ですが、その逆の場合もあります。
それは、お子さんに怠け癖がついてしまっている場合で、親御さんが叱らないと、お子さんはいつまでも怠け続けてしまいます。この場合は、むしろ叱ることが必要ですらあります。
いずれの場合であっても、叱ることは必ずしも悪いことではないという認識を持つことが大切だと思います。
想いを心の余裕に変えるために
上で述べましたように、親御さん・お子さん共に愛情深く素晴らしい方であればあるほど、対立が激しくなるという皮肉な状況が生まれます。これを回避するには、2段階の対策が有効です。
まず、第1段階は、厳しく叱る・激しく反抗するという行為は、お互いを想う気持ちが強いことの表れなので、悪いことではない、自分を責める必要はないのだと明確に知ることです。
とはいえ、現実に親子で言い争いになっている場面で、お互い快い気持ちでいるなどというのは、実際問題として難しい場合も多いでしょう。振り返ってみて、「なんで、あなたは〇〇なの!」といった人間性を否定するような言葉をつかっていたならば変えてみましょう。
そこで、第2段階は、想いを第三者にぶつけることです。
親子間で直接想いをぶつけ合うと、どうしても言い争いになりがちです。そこで、お母さんであればご主人やママ友などに愚痴る、お子さんであればご友人や学校の先生などに愚痴る、というのがよいでしょう。
ご主人が仕事で忙しく、ゆっくり話をする時間がない、適当な友人がいないというお母さんやお子さんの場合は、家庭教師に愚痴って下さい。そのための家庭教師です(笑)。
いずれにせよ、想いを自分の中にため込まずに、誰かに話して発散することが重要かと思います。